眼科専門医試験対策ブログ

自分用のまとめ

EOGについて

EOG検査

 

まずEOG検査は何を見る検査かというと網膜色素上皮の機能を見る検査です。

 

あまり細かく電気整理を書くと嫌になってしまうと思いますのでざっくりと説明します。

 

原理を理解するために知っておくべきこととして、網膜に光を感じると、過分極や脱分極など色々起こって、網膜色素上皮より硝子体側がプラスに、脈絡膜側がマイナスになります。これはそういうものと思って暗記です。

 

そして上記により眼玉全体として考えると、眼の角膜側がプラス、視神経側がマイナスとなります。
この知識が大前提として必要です。

 

EOG検査のためには眼の両サイドに電極を貼ります。
この画像ではNとTを貼ってT側をプラスとしています。

この状態で眼がT側を向くと陽性の波形が出ます。
そして逆側を見ると今度は陰性の波形が出ます。

 

f:id:xharu14:20200803093759j:image

 

ちなみに実際電極を貼るとこんな感じです。
左右意外にもいくつか貼ってますが

 

f:id:xharu14:20200803093832j:image

 

そして検査の時には一定のリズムで、右、左、右、左と見てもらって安定した波形が得られるまで続けます。

そしてだいたい1分間での平均の振幅をグラフに記録していきます。

 

そして振幅の平均をプロットして繋げたものがこちらの図になります。

 

f:id:xharu14:20200803093925j:image

 

この図にあるように、まず初めは室内光で記録します。
そこで得られた振幅を基準とします。
そのまま電気を消して暗順応させると振幅は徐々に下がっていき、12分くらいで最も低くなります(DTの部分)。
そして次は明順応させていくと振幅がどんどん大きくなっていき、LPと書いてある所で最も大きくなります。

 

このLPとDTの非で異常かどうかの判定をするのですが、だいたいLPがDTの2倍以上なら正常です。

 

このLP/DT比のことをArden比と呼びます。

ちなみに網膜色素上皮が広範に障害されるような網膜色素変性症などではL/D比が低下して異常所見を示します。

ただ、網膜色素上皮が広範にやられるような疾患はこんなめんどくさい検査をしなくても診断出来ることが殆どです。

ではどんな疾患で有用かというと、卵黄状黄斑ジストロフィー(Best病)と常染色体劣性ベストロフィノパチーです。
これらの疾患では、ベストロフィンに異常があり、ベストロフィンは網膜色素上皮の脱分極に関わるClイオンの透過性を調節しているためEOGで異常が出ます。

広範な網膜色素上皮の以上を来す疾患ではERGでも異常を来しますが、ベスト病などはERGは正常にもかかわらずEOGでのみ異常所見を認めるのが特徴です。

 

ちなみにこの検査方法を見ていただくとわかると思いますが、左右の眼球運動が正常でないと正確な検査所見は得られません。

また眼振がある患者で、眼振の性状を記録するためにこのERGが使用されることもあります。