眼科専門医試験対策ブログ

自分用のまとめ

【専門医試験対策】網膜内血管腫状増殖(RAP)

網膜内血管腫状増殖(RAP)

 

 

網膜内血管腫状増殖(RAP)は滲出性AMDに分類される特殊型です。
ですのでここ数日解説している①典型AMD, ②PCV, ③RAPの3種類を理解出来れば滲出性AMDがざっくりわかったことになります。

今までの典型AMDやPCVでは脈絡膜から新生血管が生えてくるのが原因で、type1CNVやtype2CNVがあるということは勉強してきたと思います。しかしRAPでは網膜からの新生血管が原因となり、脈絡膜の新生血管と吻合するのが特徴的です。

 

PCVは男性に多く、比較的若年に発症することと対照的に、RAPは高齢女性に発症します。

また、両眼発症が多いことも特徴ですので片眼のRAPと思っていても実は僚眼に初期のRAPを見つけることがしばしばあるので見落とさないことが大切です。

 

そして日本では滲出性AMDの中の約5%と比較的少ないですが治療に抵抗する例が多いイメージです。

以前話題に出したreticular pseudodrusenがこのRAP発症の強い危険因子と言われています。

診断には眼底造影検査で網膜血管とCNVの吻合を確認することが重要で、FAGよりもICGAの方が検出率は高いと言われています。

 

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割と末期RAPのFAGとICGAです。
FAGで耳上側に吻合形成を認め、さらにその外側にびまん性過蛍光を認めます。
ICGAでは、より明瞭に吻合形成が観察出来ると思います。

 

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他のRAPの画像です。
カラーではreticular pseudo drusenと軟性ドルーゼンを認め、黄斑の上方に網膜出血を認めます。
FAGでは黄斑上方に過蛍光を認めます。
ICGAでは黄斑上方に血管吻合による過蛍光が観察できます。

 

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しかし、FAGやICGAだけでは診断が難しい場合もありますので、OCTも診断に有用です。
上のOCTはその上と同一症例ですが、赤矢印で示したRPEに一部断裂があると思いますが、これをbump signと呼びます。このbump signがあればRAPを強く疑います。
またOCTでは脈絡膜が薄いことも特徴的です。

治療は他のAMDと同様に抗VEGFが基本ですが、先ほども書いたように治療に抵抗性ですのでPDTとの併用が推奨されるという意見もあります。

AMDを理解するにはこの①典型AMD、②PCV、③RAPの理解が先決だと思いますので私がまとめた内容が未履修だった先生方はこの辺を軸に知識を肉付けしていけばよいかと思います。